西穂高岳 2909m Bランク
―岩稜を歩く―
■実施日 令和2年8月17日(月) 晴
■参加者 7名
■コースタイム
集合場所5:00→鍋平P7:30→しらかば平駅8:15→西穂高口駅8:23~35→西穂山荘9:30~40→丸山9:55→独標10:45~55→ピラミッドピーク11:20→チャンピオンピーク11:35~40→西穂高岳12:05~35→チャンピオンピーク13:05→ピラミッドピーク13:20→独標13:40~50→丸山14:30→西穂山荘14:40~15:00→西穂高口駅15:45~16:15→しらかば平駅16:23→鍋平P16:30→ひがくの湯17:00~40→集合場所20:00(解散)
お盆休み明け月曜日の例会である。しらかば平駅からロープウェイでわずか8分、標高2156mの西穂高口駅に着いた。樹林帯を登り森林限界に建つ西穂山荘で一息入れたら夏空のもと西穂高岳を目指す。稜線からの視界は良好。美しい笠ヶ岳をはじめ白山、中央アルプス、南アルプス、富士山、八ヶ岳もくっきり見える。行く手には西穂高岳へのピーク群が並び、奥にそびえるジャンダルムから前穂高岳に連なる「吊尾根」はまさに岩の殿堂と呼ぶにふさわしい。丸山を過ぎ、ガレ場を行き、岩場をひと登りすれば標高2701mの独標に着く。
多くの登山者が登って来る独標は主峰から数えて第11峰。ここより先が今回の目的である本格的な岩稜歩きとなる。石を落とさないよう注意しつつ切れ落ちた岩場を三点確保で確実に前進した。小さなアップダウンを繰返しながら高度を稼ぐ。ピラミッドピーク(8峰)もチャンピオンピーク(4峰)も恐怖感はなく、むしろ楽しく越えて行く。途中の鎖場あたりで風が強まったのでウインドブレーカーをまとう。いよいよ山頂直下、最大の難所にさしかかった。リーダーは先週の下見で研究済みだが、今日の参加者はこの場所が初めて。わずか10メートルの急斜面でもホールドやスタンスを誤れば谷底まで堕ちていくしかない。ザイルを固定したらしい錆びた鉄輪が岩に残る。数分間の極度の緊張の末、全員自力で登頂を果たした。達成感に笑みがこぼれた。
先客は数人のみ。風が止み、寒くない山頂は第一級の展望台だ。目の前のジャンダルムへと続く日本屈指の名だたる岩場は人間を威圧し頑なに拒む。対して眼下の梓川と上高地は緑の坪庭のように見え、霞沢岳や明神岳がそれを囲む。振り向けば焼岳、乗鞍岳、御岳が縦の線上に並んでいた。西穂高岳の魅力は360度広がる絶景にある。すぐ先の岩峰でドローンを飛ばして遊ぶ3人の若者の姿があった。空中撮影でもしているのだろうか。私たちは少し長めの休憩から腰を上げ下山にかかる。
急斜面の下りはことさら恐怖心をあおるが全員慎重に通過、往路を戻る。通り雨が来たがすぐに止んで午後の日差しが増した。独標まで戻ると人心地ついた。西穂山荘で麗しの稜線に別れを告げ、満ち足りた気持ちでロープウェイ駅へと下った。
新穂高ロープウェイしらかば平駅
7月新造のオーストリア製二階建車両に乗り込む
標高2156mまで一気に上がるロープウェイの存在は有難い
西穂山荘前で小休止。準備を整えたら出発!
西穂山荘前から望む白山
西穂高岳めざしハイマツの稜線を行く
西穂丸山に到着
歩きにくい石のガレ場が続く
甲斐駒から北岳への稜線シルエットの彼方に富士山
独標下の岩場を行く
53年前の8月、独標への落雷により松本の高校生多数が犠牲になった
独標より行く手を見る。左からピラミッドピーク、チャンピオンピーク、西穂高岳。その先の天狗岩やジャンダルムはいずれそのうちに
独標から一旦下り・・・
大きく登り返す。三点確保とヘルメットは必須だ
また岩をよじ登り
少し下るを繰り返す
登山道中、比較的整備された鎖場を通過
地味な第3峰下部を巻けば主峰はもうすぐだ
蒲田川の谷をはさんで対峙する名峰笠ヶ岳
山頂直下の難所。先行者も慎重に登っている
西穂高岳2909mに登頂
(山頂風景)ジャンダルムから奥穂高岳3190mへと続く難路。左は涸沢岳3110m
(山頂風景)雲がたなびく槍ヶ岳3180mと大喰岳3101m。さすがに高い
(山頂風景)上高地と霞沢岳2645m
山頂より来し方(11の峰)を見おろす
慎重に、慎重に難所を降りるメンバー
上高地へ落ち込む谷の源頭部。花々に混じってウサギギクが咲いている
独標まで下りた。赤坂・虎屋の黒羊羹で暫しくつろぐ
う~む、あの岩尾根を歩いて来たのか・・・
西穂山荘付近のトリカブトの群落。欧州では騎士の兜に見立て花言葉は「騎士道」と「復讐」
ロープウェイ駅の売店で買った「信州りんごサイダー」240ml 300円。独特の清涼感が疲れた身体に心地良かった