■コース報告 営業が終わったスキー場の駐車場は、よく利用していた簡易トイレが撤去され進入禁止のチェーンが張られていたが、西側に残されたオープンスペースに全員車を停めることができた。CLが先頭、しんがりSLで出発、見上峠の池を右に見てゆるやかに県道209号を下る。大門山や高三郎山の白い峰が青空に映えて綺麗だ。 小原集落を過ぎた435m地点の登山口で隊列を整え夏道を尾根に取り付く。鉄塔付近より上部は積雪域となるが雪は少なく、それも春の締まった雪質でワカンを装着する場面はこの日最後までなかった。次第に雲が空を覆ったが、下山するまで雨に逢うこともなかった。冗長な小原尾根を、小休止をはさみながら高度を稼ぐ。725mのピークから一旦下り、登り返せば奥医王山の一等三角点(939m)に到達する。登山者の少ないこの区間は地形が複雑なうえ雪上のトレースが不明瞭で、CLは慎重にルートを選んで足跡を付けた。奥医王山山頂には積雪が1メートルほどあり、数人の登山者が憩っていた。たまたま居合わせた元会員のMさんにお願いして集合写真に納まると、スキー客もまばらなイオックスアローザを眼下に夕霧峠を目指す。東側に発達した雪庇を避け、反対側の急斜面を注意深く下って夕霧峠に着き、誰もいない展望小屋の木戸をあけて入り中で昼食をとる。
小屋の前には戸室山の先に金沢の街が広がり、日本海が青黒く弧を描くいつもの風景があった。私たちは再び積雪を踏んで蛇尾山から白兀山を目指した。ブナの幹が根元の雪を丸く融かしはじめた間をカラフルな一団が登って行く。北アルプスの眺望を求めて何度この雪稜を歩いたことか。この尾根筋から見る富山側の景色が山好きにはたまらない。砺波平野の彼方に連なる朝日岳から白馬、剱、立山、薬師、遠く槍ケ岳までの大パノラマ。曇り空の下、名だたる秀峰が純白に輝いて存在を誇示してみせる。別の方角には黒々と宝達山も見え、能登半島がその奥に煙っている・・・。
白兀山からの下りでは、雪の斜面をツボ足で自由自在に降りた。気温10度、無風であたたかい。前山を過ぎ、西尾平へ降りる急斜面は雪も消えて下向きに生えた草木に手足を取られながらの藪漕ぎは予想外であった。CLは西尾平からの帰路を登山道ではなく林道経由と決断、アスファルトの上をひたすら駐車場まで歩いた。この朝たどった小原尾根の長い稜線が町の日常へと帰っていく私たちを見送っていた。
見上峠の池畔はすっかり春の装い小原登山口鉄塔を越えたあたりから登山道に雪が現れるCLが付けた足跡を忠実にたどる