屋久島*宮之浦岳
~百名山・宮之浦岳登山と弾丸!屋久島観光スポット巡り~
太古からの大自然が今なお残る、神秘の島「屋久島」。日本で初めて世界自然遺産に登録された地としても知られます。
今回、九州最高峰・百名山の宮之浦岳(標高1,936m)と代表的観光スポット(縄文杉・ウイルソン株・白谷雲水峡・大川の滝・中間ガジュマル・トローキの滝・その他)の両方を、2泊3日でも効率良く楽しめた行程と、深く心に刻まれた屋久島の魅力を少しでもお伝えしたく、また的確にプランニング・予約手配してくれたメンバーに感謝の意を込め、報告させて頂きます。屋久島に行きたいと思われている方の参考になれば幸いです。
屋久島観光の詳細→屋久島観光協会 https://yakukan.jp/
【行動日】 2025.5.10(土)~5.12(月)
【行動記録】
1日目 金沢市内P2:00-伊丹空港P-JAL大阪(伊丹)発7:10…鹿児島着8:25…(乗継)…鹿児島発8:50…屋久島着9:40-レンタカー乗車-山岳太郎(ガス缶購入)-Aコープ(食材購入)-かたぎりさん(ランチ)11:10-屋久島自然館P(レンタカー駐車・タクシー乗換)-紀元杉12:50-淀川登山口(入山)13:16-淀川小屋(泊)14:10
2日目 淀川小屋3:41-宮之浦岳7:52-平石岩屋(大休憩)9:02~9:30-新高塚小屋10:46-縄文杉11:55~12:11-ウイルソン株13:08~13:42-大株歩道入口(トロッコ道始まり)13:56-荒川登山口・バス乗車16:30-屋久島自然館P(レンタカー乗換)17:05-Aコープ(買い出し)-民宿たけんこ(泊)17:35
3日目 民宿たけんこ4:30-大川の滝5:20-中間ガジュマル5:53-トロ―キの滝6:30-民宿たけんこ(朝食・チェックアウト)8:05-白谷雲水峡(苔むす森まで)9:27~12:00-レンタカー返却-屋久島空港(ランチ・土産購入)-JAL屋久島発13:45…鹿児島着14:20…(乗継)…鹿児島発14:45…大阪(伊丹)着15:55-伊丹空港P16:15-(賤ケ岳SAで夕食)-金沢市内P20:50
【宮之浦岳登山情報】
コース
・1日目:淀川登山口-淀川小屋(泊)→歩行距離:1.3km、累積標高:登り94m/下り79m
・2日目:淀川小屋-宮之浦岳-縄文杉-ウイルソン株-トロッコ道-荒川登山口→歩行距離:22.2㎞、登り1,235m/下り2,012m
このコースの利点
・淀川登山口の標高は1,360m。標高600mの荒川登山口から登るよりも楽。ラストのトロッコ道は長いが、疲れた足には安心して歩ける。
・初日、昼頃までに屋久島に上陸すれば、その日のうちに登山を開始でき、淀川小屋で泊まれるため、日程の節約になる。
・混雑が予想され、テント泊の準備が推奨されている定番の新高塚小屋泊ではなく、淀川小屋泊で早々に到着・就寝、初日の早起き・移動の疲れを取ることが出来る。小屋のそばを流れる淀川の清流で癒される。
・翌日、時間的に荒川登山口から縄文杉を目指すハイカーの混雑に殆ど巻き込まれなかった。ウイルソン株ではまさかの貸切状態。
アクセス
・行き:荒川登山口下山のため、レンタカーを屋久島自然館Pに駐車(注1)、予約していたタクシーに乗換え、約50分ほどで淀川登山口(注2)に移動。
・帰り:荒川登山口16:30発の荒川登山バス乗車(注3)-17:05屋久島自然館P下車-駐車していたレンタカーに乗換え。
(注1)毎年3~11月の期間、荒川登山口はマイカー規制を実施。屋久杉自然館P:約160台駐車可(無料)
(注2)淀川登山口は最寄りの紀元杉バス停から徒歩約30分要する。早朝登山にはバス便が対応していない。淀川登山口P:約10台
(注3)この時間帯は30分~45分毎。最終登山バス17:45発。
【宿泊】
1日目 淀川小屋:標高1,380mにある無人小屋。収容人数 約40人(上段あり)汲み取り式トイレ・携帯トイレブースあり。水場あり。※コース上、水場が多い。今回、500mlのペットボトル1本で汲みながら進み、水分補給には困りませんでした。
2日目 民宿たけんこ:夕食・朝食付¥7,700 8畳1室を4人で利用。
【その他の情報】
・金沢⇔伊丹空港高速代:行き¥4,790(休日割引料金)+帰路¥6,840、伊丹空港・北立体P①駐車場代(3日間)¥6,100
・JAL往復セイバー乗継便¥39,344
・レンタカー:まつばんだレンタカー空港営業所利用。レンタカー代(普通車・3日間・フルカバーの保険・ガソリン代含む)¥24,285/台。
・タクシー:屋久島自然館P→淀川登山口(途中、「紀元杉」を観光中に待機)¥6,300
※レンタカー・タクシーの予約は早めに。屋久島は台数自体が少なく、3か月前に予約が埋まることもあるそう。
・ガス缶は航空機の受託荷物・機内持ち込みのいずれも不可。空港の売店などで購入可。私達はジェットボイルのガス缶を「山岳太郎」ショップで購入。帰りに使用済みガス缶をレンタカーショップに寄付・処分させて頂きました。
・「ひと月に35日雨が降る」と表現される屋久島。雨対策は十分に。湿度が高めの屋久島なので、濡れた衣類を避難小屋で干しても乾きにくい。屋久島はいわば巨大な岩山で山間部の表土は薄く、降った雨はあまり留まらずに山肌を流れる。大雨になると登山道自体が沢になることがある。
雨対策など→現場のガイドが教える「屋久島に行く前に知っておきたい意外な基礎知識」 https://greenmessenger-yakushima.com/blog/tips.html
1日目---------------

2:00金沢市内P出発、9:40には屋久島上陸。亜熱帯の気候と景観がたまりません。まずは、空港から徒歩数分のショップで予約していたレンタカーを借り、いよいよ屋久島timeの始まりです。

淀川登山口へ向かう途中、車道沿いで気軽にみることができるという紀元杉へ。手が届きそうな距離!圧巻です。紀元杉は特に着生樹が多く、10種類以上が着生しているそう。


淀川登山口から入山。世界自然遺産エリアに入る頃には、さらに原生的な森の自然美にテンションが上がります。木漏れ日射す中、50分程ゆっくり歩くと宿泊先の淀川小屋に到着。横を流れる屋久島随一の清流・淀川の優しいせせらぎが歓迎してくれているかのようでした。この日、約20人ほどが宿泊されていました。
2日目---------------

3:45ヘッドライト装着し、巨木の森を歩き出します。高層湿原・小花之江河あたりで夜が明け出し、さらに日本最南端の高層湿原(標高1,640m)花之江河(はなのえごう)まで登り休憩。そこから登ること2時間、多彩な緑の谷の向こう、浮かび上がる山脈の稜線が美しい。右奥、ピラミッド型の秀麗な山容は愛子岳。内親王・愛子さまの御誕生以来、登山愛好者に一躍クローズアップされ、名前に縁を求める登山者が増えたそう。

巨岩が横たわる投石平を過ぎ、森林限界を超えてくると花崗岩の風化と浸食でできた奇岩や巨岩が点在。不思議で楽しい光景です。屋久島のモアイ像を発見!

栗生岳をトラバースし振り返る。左・双耳の岩が特徴の翁岳、中央・栗生岳、右・カットされた岩がおもしろい。ヤクシマダケ(背の低い葉の細かい笹)が増え、まだ硬い蕾のヤクシマシャクナゲも多くみられるようになりました。5月下旬~6月上旬になると、白紅色の花が咲き揃い、とても華やかな光景が広がるそう。
そこから20分程、宮之浦岳山頂まで気持ちの良い登りが続きます。

登頂!宮之浦岳・九州最高峰(標高1,936m)の頂きです。贅沢にも貸切!好天にも心から感謝し、ご褒美の大パノラマを楽しみました。

どこをみても絶景!中でも目を奪われたのは永田岳(標高1,886m、屋久島で2番目・九州でも2番目の高峰)です。その右に連なる岩峰・尾根もとにかく圧巻。緑の絨毯に砂利を投げつけたような山肌も独特。

眼下にはこれから歩く縄文杉方面の縦走路が一望。

振り返りみた宮之浦岳の優しい山容。


平石岩屋。1番上の写真、中央の巨岩が人面にみえませんか?ここは風を避けれて大休憩場所にぴったりでした。


濃淡の緑色で埋め尽くされた山肌に夢中。
物議を交わした物体。「シシ神様だよ」と力説するメンバーに苦笑。
迫力!坊主岩。
よく目にした、岩の上に覆いかぶさり生きる木。新高塚小屋で小休憩し、縄文杉を楽しみに進みます。
やっと会えました!「縄文杉」です。言わずと知れた屋久島を象徴する森の王者。威厳に満ち溢れ、堂々とたたずむその姿は完全に別格でした。瘤が波打つように隆起する木肌や気の遠くなるような時を生き続けてきた気迫に、脅威に似たものさえ感じるほど。2箇所の展望デッキはたくさんの人で溢れ返りとても賑やかでしたが、縄文杉を取り囲む空間だけは異空間。静粛さに引き込まれるようでした。
縄文杉の詳細→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%84%E6%96%87%E6%9D%89

「ウィルソン株」屋久島最大の切り株で、中から見上げるハートが人気。この切り株は16世紀末頃に伐採されたもので、空洞の広さは10畳ほど。名前は存在を広めたアメリカの植物学者・ウィルソン博士に由来。綺麗なハート型に撮影するコツは、入って右側に座り撮影。他、下山コース上に夫婦杉、大王杉、仁王杉、三代杉があり、それぞれの趣の違いを楽しみました。


トロッコ道に出ました。荒川登山口まであと8.5km(標準コースタイム2時間40分~3時間)の歩きです。トロッコ道は昔ながらの風情にあふれた道でしたが、後半、疲労もあり、とにかく長いトロッコ道にげんなり...脳内をお風呂と湯上りビールで満たし、ラストスパート。予定より1時間早い16:30発の登山バスに滑り込み乗車できた私達は、車中で数々のラッキーと頑張りを称え合いました。屋久島自然館Pでレンタカーに乗換え、お風呂と湯上りビールが待つ民宿「たけんこ」へ。

たけんこさんの夕食は嬉しい部屋食です。屋久島名物・トビウオの姿揚げにカメノテ、刺身に茶碗蒸しなどなど、どれも美味しかったです。朝食も付いて¥7,700はコスパ最高!「儲けはないね~」と笑って話す女将さんが素敵でした。
3日目---------------
朝活!4:30レンタカーで出発。大川(おおこ)の滝→中間(なかま)ガジュマル→トローキの滝を観光しました。


「大川の滝」日本の滝100選に選ばれた、屋久島では水量規模とも最大の滝。島内一の高さを誇る高さ88m。豪快な水しぶきをあげて滑り落ちる様はまるで生き物のようでした。滝壺の真下まで岩々を歩いて行けるそうですが、岩が滑りやすく止めました。

「中間ガジュマル」巨大なアーチ状のガジュマルは撮影スポット。熱帯性のイチジクの仲間で、南の島独特の植生をみることができました。
「トローキの滝」日本で2つしかないという海に落ちる珍しい滝。背後にそびえ立つモッチョム岳と屋久島らしい色彩の新緑グラデーション・赤い橋の対比がフォトジェニック。名の由来は流れ落ちる水の音がごうごうととどろくことから「とどろきの滝」→「トローキの滝」になったそう。
民宿に戻り、温かく美味しい朝食を頂いたあと、屋久島を代表するトレッキングスポット「白谷雲水峡」へ。
入り口から「苔むす森」までの往復3時間(注1)をトレッキング。搭乗時間を逆算し、ぎりぎりまで攻めます!
(注1)2,024年8月、台風の影響で大規模な崩落が発生し、さつき吊橋手前から通行止め。飛流落としの滝から迂回路を通るため、苔むす森を含む太鼓岩までは片道50分多く時間を要します。

「飛流おとし」落差50mの滝。花崗岩の割れ目を勢いよく流れ落ちる様は圧巻。

幹のくぼみに巧く着地し、小さな命をつなぐ若木の姿。
コスギゴケからピアスみたいにぶらさがる水の雫。きらきらと輝いていました。

「くぐり杉」土台になった倒木の姿がまったく残っていないことから、屋久杉より腐りやすいツガの倒木上に育ったとも考えられているそう。

「七本杉」強風で損なわれた主幹の上端を補うように、上部に7本(現在は6本?)の枝が立ち上がり樹冠を形成。日照を確保しているそう(大き過ぎて上部が撮影できません)

渡渉もあります。途中で止まり、撮影せずにいられないこの光景。
「苔むす森」です。宮崎駿監督のアニメ映画「もののけ姫」のイメージの源となった場所。重なり合う岩も倒木も木の幹も枝も全て緑の苔の絨毯で覆われた幻想的な世界。湿度が高く、空気中にしっとり漂う瑞々しい苔や木々の香り、沢の水音や鳥のさえずり...五感をフルに使い、全身で屋久島の自然を味わってきました。
ヤクシマザル:小型で毛が長く黒っぽい等が特徴。ヤクシカ:ニホンジカの亜種として最小。
レンタカーを返却し13時過ぎに屋久島空港到着。空港内レストランで食事・お土産購入。搭乗時間になり飛行機へ歩き出す途中、名残惜しく振り返る。屋久島に感謝のお礼をすると、一気に切ない気持ちが押し寄せてきた...いつかまた。
写真 NO.424・374・289・354
記 NO.354