北穂高岳
~3000m級の山小屋に泊まろう~
■実施日 2024年7月21日(日)~23日(火)
■参加者 6名
北アルプス南部に位置する穂高連峰、その一番北側に鎮座する北穂高岳(標高3106m)
北穂高小屋のある北峰と縦走路から外れた場所の南峰からなる双児峰で、懐には日本有数の氷河圏谷である涸沢カールを抱えています。
切り立った岩壁、氷河地形や残雪、咲き誇る高山植物など、アルペン的要素がギュッと詰まった夏の北穂高と涸沢カール。今回、その両方を贅沢にも二泊三日の行程でゆっくりと滞在し、心置きなく山時間を楽しもう!という、穂高ビギナーにとっては何とも有り難い企画。北穂高岳はCL以外、SLも含めメンバー皆初。穂高=岩稜帯・一部やや難所もありと認識していましたが、北穂高岳の登山道はたいへんよく整備されていました。山頂下あたりの残雪トラバースも融けて消えていた為、想像していたような難所や恐怖を感じる箇所は個人的にもなかったです。
眺望は、一日目・二日目ともに穂高の高層に厚い雲が張り付き、のんびりと北穂高小屋テラスから眺めたかった大キレット~槍ヶ岳の絶景は次回のお楽しみとなりました。しかし、それらを差し引いても初の穂高は感動的で最高でした。撮影した写真をみながら、こんな素晴らしい空間に身を置けていたのだと改めて実感。二泊三日・岩稜帯も含む例会を率先し、企画・お世話して下さったCL・SL、一緒に初穂高を楽しめた参加メンバーに心から感謝申し上げます。
■コースタイム・山行概要
1日目 7/21(日) 曇り晴れ 歩行距離:16.7km、累積標高差:上り991m/下り173m
金沢市内P集合4:30-不動寺PA(合流)-あかんだなP 7:00/07:20乗車-上高地BT 7:55/8:04-横尾山荘11:16/11:50(昼食)-本谷橋12:54-涸沢ヒュッテ14:57(泊)
2日目 7/22(月) 曇り晴れ 歩行距離:1.9km、累積標高差:上り802m/下り21m
涸沢ヒュッテ6:37-北穂高岳10:35/10:42-北穂高小屋10:43(昼食・泊)
3日目 7/23(火) 晴れ 歩行距離:19.1km、累積標高差:上り192m/下り1781m
北穂高小屋5:48-涸沢ヒュッテ9:10/9:30-横尾山荘11:35/11:41-徳澤園12:26/12:48(昼食)-河童橋14:53/15:10上高地BT 15:30乗車-あかんだなP/16:00-ひらゆの森(入浴)16:20/17:14-金沢市内P着20:15
■1日目 上高地BT~涸沢ヒュッテ
土砂流出被害により、7月1日から小梨平奥から明神までの左岸歩道は通行止め。河童橋を渡り、右岸歩道で明神へ迂回(15~20分程度のコースタイムが追加)岳沢湿原のデッキから朝の爽やかな湿原風景〈photo by Y.M〉
右岸・緑濃い原生林の遊歩道が心地良い〈photo by T. I〉
横尾で昼食をとった後、涸沢ヒュッテまでの標高差約700mを登り始める。河原を過ぎ樹林帯を進むと左手が開け、屏風岩の大岩壁が迫力を増してくる。ロッククライミングの対象として人気があるそう。高さは約600m。
本谷橋(ほんたにばし)を渡るといよいよ本格的な登りへ。その前に広い河原で小休憩〈photo by T. I〉
高山植物を愛で、姿を現した前穂の岩峰・振り返りみえた谷奥の山容(東大天井岳?)を楽しみながら高度を上げれば、一日目の宿・涸沢ヒュッテに到着。展望テラスからの穂高はやっぱり壮観!この絶景、何はともあれ生ビールで乾杯でしょう!(名物おでんは翌日から販売開始でした...)
ビンテージ感がおしゃれ。食堂へのアプローチ〈photo by T. I〉
夕食時は赤ワインで乾杯! 明朝のモルゲンロートを願いながら就寝
■2日目 涸沢ヒュッテ~北穂高岳~北穂高小屋
4:45 東の空は焼けていましたが、穂高高層は昨日同様、厚い雲が張り付いていました。モルゲンロートは諦めていたところ...〈 photo by N.M〉
4:48 前穂方面が染まり出しました!上がる歓声!皆さん、夢中でシャッターを押します。
4:50 赤く輝いています。朝の数分しかみれないこの現象。しっかりと目にも焼き付けます〈photo by T. I〉
4:56 今度は獅子岩と北穂南稜が黄金色に輝きます。なんとも神々しい風景でした〈photo by Y.Y〉
二日目は標高を3000mまで上げるため、いつもよりゆっくりを意識して歩き出します(涸沢ヒュッテで標高2350m) ゆっくり登っても午前中には北穂高小屋に到着です。岩稜帯の登り、満開の高山植物、高度が上がるごとに近く迫力を増す穂高、日本最大規模のカール、滝雲の絶景など心置きなく楽しませて頂きました。以下、その絶景と岩稜帯突破の写真が続きます。
まずは「クロユリスラブ」の岩稜帯。CL・SLが実践し、解りやすく注意点をレクチャー。
南稜取付のクサリ場。長さ17m・二段に分けてクサリが掛けられた一枚岩。足場が切られており、それを足がかりに登り易い。長いハシゴを登り切ると南稜。
大雪渓と前穂北尾根
奥穂高岳と涸沢岳の高さに目線が近付き、感動〈photo by Y.Y〉
濃紺な空と岩稜、斜面に広がるハクサンイチゲ。夏のアルペンムード満載〈photo by Y.Y〉
以下、咲き誇る高山植物を花弁の色別にまとめてみました。
〈白花〉下段・左:シロバナグンナイフウロ(白花郡内風露)、下段・中央:センジュガンピ、下段・右:エゾシオガマ
〈黄花〉下段・左:シナノキンバイ(信濃金梅)、下段・中央:タマガワホトトギス、下段・右:シナノオトギリ(信濃弟切)
〈ピンク・紫の花〉上段・中央:タカネヤハズハハコ(高嶺矢筈母子)、上段・右:ミヤマリンドウ、下段・左:ヨツバシオガマ、下段・右:イワギキョウ
東稜の「ゴジラの背中」だそう。確かにネーミングの雰囲気がありました。
日本最大規模のカール。近くでゆっくりとみれる幸せ。中央にザイテングラート〈photo by Y.Y〉
北穂高小屋に荷揚げのヘリコプターが飛んできました。飛び立つ様がまた格好良くて大はしゃぎ!
大きな岩(松濤岩)の横を回り込み、ひと登りすれば北穂高岳北峰山頂。山頂は広めで平坦。北穂高小屋は山頂のすぐ下。
CLお気に入りの北穂高小屋。標高3100m・北穂高岳北峰に建つ、北アルプス最高所の山小屋。収容人数70名だそう。
展望テラスにて。達成感と共に至福のランチ。YARIHOクラフトビール(爽やかテイスト!)で乾杯!厚い雲の中、絶景であろう大キレット・槍ヶ岳などは望めませんでしたが、次回のお楽しみが増えたということで。
小屋前に咲いていた高山植物。上:シコタンソウ(色丹草) 花弁の黄色と赤色の斑点模様がとても可愛い。下:北穂高小屋のイメージマーク・イワツメクサ(岩爪草)岩の間にある僅かな土壌で健気に咲き誇る姿が愛しいですよね。
午後はギャラリーのような食堂兼談話室でまったり。テーブル・椅子などアンティークなインテリアに落ち着きます。
楽しみにしていた「北穂ブレンド」ドリップコーヒーは深い味わい。コーヒーカップや食器にワンポイントのイワツメクサ(岩爪草)モチーフがおしゃれ。そのワンポイントをスケッチするSL。
名物おしるこ、ホットレモネード、赤ワイン、CL持参の年代物ジャパニーズウイスキー(良い樽香がたまりません!) メンバー持参の高級梅酒などを頂きながら談笑タイム。
夕食は北穂高小屋名物・豚の生姜焼き。大きな圧力釜で炊いたご飯が本当に美味しくてお代わりしました〈photo by T. I〉
19:43 小屋テラスからの夕景〈photo by Y.Y〉
■3日目 北穂高小屋~上高地BT
4:10 小屋テラスにて。写真中央・遠景に富士山。左手前は前穂高岳と大雪渓〈photo by Y.Y〉
中央は浅間山
山頂に上がり、西側に目を向けると月光に浮かび上がる急峻な岩稜帯〈photo by H. I〉
4:17 強風に耐えながらの御来光待ち。この後、雲に覆われてしまいました。
雲の中を下山開始。雲を抜けると晴天と大展望が待っていました。このトラバース、CLいわく「強いて言うなら北穂で危ない箇所」だそう。
連なる稜線の向こうに富士山〈photo by T. I〉
週末など、大渋滞するであろうクサリ場を下る
手前:岩稜帯、中央左:宿泊した涸沢ヒュッテ、中央~右上方:大雪渓と前穂北尾根、左上:富士山、はしゃくメンバーが一枚に収まった写真〈photo by H. I〉
何度みても惚れ惚れするカール〈photoby Y.Y〉
涸沢ヒュッテに戻ってきた。快晴の涸沢カールは最高!
快晴の北穂高岳もしっかりと目に焼き付けて。中央は北穂高南峰〈photo by Y.Y〉
気温が上がる中、疲れた足・硬い登山靴での長い帰り道はやはりきつい。梓川沿い、川風や原生林の揺らめく木漏れ日の道を癒しに進む。
観光客で賑わう河童橋。冷たい飲み物を購入しクールダウン。15:30 バス乗車。あかんだなPで登山靴を脱いだ時の開放感!ひらゆの森でさっぱりと入浴してから帰路に着きました。