オンラインユーザー6人
ログインユーザー0人
訪問者数5189331
会員外の方も買物できます

 









 
















 

2010/05/05

笈ヶ岳(1841.4m) 中宮温泉側から登る

Tweet ThisSend to Facebook | by 会員
2010年5月1日(土) 晴れ 参加者4名(中野、神田、山田、岡野)
笈ヶ岳 (1841.4m) 中宮温泉側から登る

[コースタイム]
集合場所4:00-中宮展示館4:40~5:00-野猿広場5:20-大岩(標高1050m付近)6:20-冬瓜山山頂8:30-シリタカ山9:10-稜線(1730m付近)9:55-笈ヶ岳山頂10:25~10:30-昼食10:40~11:15-冬瓜平への分岐(標高1650m付近)11:50-稜線(標高1520m付近)13:00-大岩14:20-野猿広場15:10-中宮展示館15:40-入浴-集合場所17:40
笈ヶ岳GPS軌跡.jpg (GPS軌跡のファイルです。約1.6MB)

歩行距離(沿面距離):約16km

累積標高差(登り):+1520m -290m
移動中の平均速度:1.9km/h
正味移動時間:7時間20分
全行動時間(休憩含む):10時間40分

 憧れの笈ヶ岳に無事登ってきた。集合時間は4時ということで、3時に起床して前夜に準備した装備をもって急いで集合場所に向かう。日付が変わるころに強い雨の音がしたが、満月に近い月が明るく輝いている。中宮展示館には、県外ナンバーの車がずらりと並んでいる。ここには外来者も使えるトイレ・水道もあって、登山口としては申し分ない。県外からの方で、ここで車中泊をされた方も多いようだ。

 まずは遊歩道から歩き始める。歩き始めてすぐに「立ち入り禁止」の札があるが、冬の間、遊歩道の橋を取り外してあるための表示と判断して野猿広場に向かう。途中で沢筋に巨大なデブリの跡があって雪が流れおちて大きな山になってコチコチに固まっている箇所を越えて足を進める。
 野猿広場を過ぎてすぐに渡渉し、斜面に取り付く。最初から急斜面で、標高1250mまではこの急斜面が続く。トラロープや針金が張ってある箇所もあるが、ここは整備された登山道ではない。ロープにはできるだけ頼らず、木の根につかまり四つんばい状態で何とか手がかりを見つけてひたすら登る。
 リーダの方が登られたときには、踏み跡もなく今とはだいぶ様子が違っていたそうである。1050m付近まで登るとコース上に大きな岩がある。この岩の左をかすめてさらに登る。1400m付近まで登ってくると、雪が出てきて冬瓜山の山頂が見えてくる。このあたりからは、後ろを振り返ると白山が大きな山容を見せており、実に美しい。冬瓜山の山頂手前のなだらかな場所に達すると、白山の眺めはさらに素晴らしい。北方稜線から禅定道方向まで遮るものがない眺めにうっとりする。
 冬瓜山の山頂への登りに取り付くと、うっすらと新雪が積もり道は凍っている。足の置場に困る場所や、足場と足場の間に何もない場所もあり、緊張して登っていく。ピッケルのヘッドをアイスバイルのように地面に突き立てて注意して登る。山頂のすぐ手前まで登ると、視界が広がりこれから向かう笈と、その先の大笠山が目に飛び込んでくる。山頂のナイフリッジを注意して通過する。
 ここからは、前方には笈・大笠、右手を振り返れば白山の素晴らしい眺めと楽しい歩きになる。1750m付近の少しいやらしいトラバースを越えると稜線に出て、さらに視界が広がる。木々には「エビの尻尾」が付いて季節を忘れそうになる。ここからさらにいくつかアップダウンを繰り返して笈ヶ岳の山頂を踏むことができた。感動である。山頂は狭く、10人もいればいっぱいになるので、少し下って見晴らしのよいところで昼食を取ることにした。白山をバックに、登ってきたシリタカ山、冬瓜山が見えていて、実に気持ちがよい。
 昼食後は、アイゼンをつけて下り始めた。GPS軌跡のようにシリタカ山手前から冬瓜平に降りて、冬瓜山の危険箇所を迂回して、1520m地点で稜線の登山道に復帰して、朝来た道を戻った。この後の下りは、実にきつーい下りであった。野猿広場まで無事に降りたとき、メンバー皆で握手して無事歩けたことに感謝した。お天気にも恵まれ、素晴らしい山行となった。

最後に、このコースでの注意事項をまとめておきます。


[道中の注意箇所]

(1)野猿広場横の沢の渡渉(水量が多くなる午後は特に)
(2)冬瓜山のナイフリッジ
(3)シリタカ山から笈ヶ岳の稜線に上がる地点のトラバース(標高1650mから1700mくらいまで)
※標高1450mから上は雪があった。標高1600m付近の冬瓜山には、新雪が薄くついて地面が凍っている場所があった。標高1700m付近のトラバースでは、アイゼンとピッケルがあったら安心。
(4)冬瓜平コースを取った場合、冬瓜山からの雪崩に注意。いくつかいやなところがあるが、冬瓜山山頂のすぐ西にある沢状の急斜面が一番危険そうに見えた。人の頭くらいの石がいくつか雪上に転がっているとともに、「沢」の一番上部には、冬瓜山山頂方向から細く水が流れ落ちており、雪の状態によっては、下が空洞になったり、上から雪や岩が雪崩れてくることが予想される場所であった。
(5)帰路に冬瓜平コースを取ってシリタカ山から冬瓜平に降りた場合、冬瓜平から稜線の登山道(踏み跡)に戻る位置での道迷いに注意する必要がある。何も考えずに地形だけを見てずんずん歩いていくと、1418mピークへの稜線に迷い込む恐れがある。これを避けるには、東経136度46分32秒まで達した時点で南に進路を変え、少し東側に回りこむようにして稜線の踏み後を目指して登り、標高1520m付近で稜線の登山道(踏み跡)に上がってしまうのがよい(今回我々が取ったルート)。
(6)最後の下りがきつい。特に、標高1050m付近の大きな岩から野猿広場までの下りは、足が疲れたところに「これでもか」と試練を与える下りであった。
(7)装備はしっかり、しかし軽く。また、藪こぎとまで行かなくても、それに近い箇所や木々の枝が茂っている間を歩くことになるので、それに対応した準備を(ザックへの装備の取り付けなど)。
(8)ピッケルは必要。ストックは雪の状態にもよるが、この山の登山に適した季節には不要と思われます。ストックに頼らないと歩けない人は、来るべき山ではないかもしれない。
(9)登る季節・天候・雪の状態が重要。今回は、冬瓜山のナイフリッジに雪や氷は付いていなかったので助かった。一方、斜面の雪は安定していた。急斜面のトラバースで、熊笹がかすかに顔を出している場所もあった。
もっと雪が緩んでくると、雪の下に熊笹などがあって空洞になるかもしれない。冬瓜平を移動する際には、雪崩れの危険はないわけではない。また、ガスに巻かれるのも怖い。

※以上は、個人の感想です。岐阜から来られた方で、笈ヶ岳が7回目とか8回目とかおっしゃる方は、長靴で登り、長靴で下っておられました。これは、この方だからできることで、私には絶対に真似のできないことです。



GPS軌跡


歩いた軌跡の標高図(歩き始めは、野猿広場からになっています。最後は、野猿広場から駐車場までの軌跡も含まれています)


標高1400mを過ぎたあたりからは雪。夜半の雨は、ここでは新雪になっています。


冬瓜山への登り


冬瓜山


笈を目指して


シリタカ山を後にして笈の稜線へ・写真上部中央あたりのトラバースでは、雪が少し凍った感じもあって緊張する。しっかりトレースがついていたので助かった(下りではアイゼンを付けた。その時間には雪は緩んできていた。)急斜面で、雪の下に熊笹が見えている箇所もあり、雪が少ないと怖いことになりそう。


笈山頂への登り

山頂にて


冬瓜平への下り


冬瓜平には、名前の通り平らなブナ林が広がっているが、尾根道に復帰するためにこのような場所の通過も必要になる。少しいやな感じのする場所。この山は、しまった雪がしっかり付いていれば、登りやすくなる。しかし、凍るような気温の低い時期は難易度が上がって、我々には無理な山になる。雪が多めの年のゴールデンウイークの前半くらいがちょうど頃合いかもしれません。残雪の状態と気象条件によって、難しさ・危険度が変わる山だと理解しました。登ってみて、状態が悪ければ、撤退する勇気も必要なのでしょう。


18:11 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)