大猫山 2070m― 急登 藪漕ぎ 剱岳の大展望を楽しむ ― (例会の下見)
■実施日 令和2年9月5日(土) 晴れのち曇り
■参加者 4名
■コースタイム
集合場所4:30 → 馬場島荘P5:50-6:15 →ブナクラ取水堰堤(登山口)6:55 → 大猫平10:40~11:00 → 大猫山12;30~13:10 → 大猫平14:30 → ブナクラ取水堰堤17:45 → 馬場島荘P18:20 →(番外編)湯神子温泉19:30~20:00 → 糸庄で反省会20:30~21:00 → 集合場所21:50
昨年、雨で中止の大猫山例会を今月下旬にリベンジ実施するにあたり下見を行なった。急登、藪漕ぎの状況把握とそれに伴うコースタイムを確認しておく必要があった。
馬場島から工事車両専用道路をブナクラ取水堰堤(標高950m)まで歩く。登山口から急登が始まり、登っても登っても4人が休めるだけの平坦地がない。平均30度はあると思われる斜面を木の根や枝、葉っぱまでも掴んで登る。危険箇所にはいちおうロープが下がるがいささか心許ない代物。傾斜が緩くなり、ペットボトル2、3本が空いた頃ようやく1857mの大猫平に着く。アオモリトドマツなどが混生する草地で、池塘に青空が映る気持ちのいい場所だ。対峙する剱岳が大きい。北方稜線は小窓、池ノ平山、大窓、赤谷山が荒々しく連なり、ブナクラ峠の背後に唐松岳や五竜岳が意外と近く見える。
鎌を手にして地元の男性が追いついた。登山道の下草を刈りに上がって来たのだという。昔は地元有志の間で毛勝三山に縦走路を付ける計画があったらしいが実現せず、息子の代の一部の者が手弁当で細々と登山道を維持していることも聞いた。そのご苦労に頭が下がる。「大猫山まで刈るのですか」と確かめたが「気分次第」との返事。登山者が少なく廃道寸前とも囁かれるこの道の整備は実際大変なのだろう。目指す大猫山はさらに200m高い稜線上にある。男性と別れた私たちはクマザサや夏草が覆い隠している道筋を拾いながら頂上を目指した。草の海を泳ぎ、持って来た赤布を帰路の目印に枝に結び付け、風雪に耐えた古い赤布も見落とさず、スマホのGPS機能にも頼りながら大猫山の一角に達した。「まるで探検のようね」。そこには紅をさした地蔵菩薩が釜谷山や猫又山の方角を仰ぎ見るでもなくポツンと置かれた不思議な光景があった。
大猫山からの下りは、藪で足元が覚束無いので予想以上に難儀した。私事だが深い穴に足がはまり向うずねを擦り剥き、虫に顔を刺されて酷い目に遭った。例会当日までに地元の方が草刈りをしてくれるか分からないし期待してもいけない。今度の例会は大猫平迄にしようと思った。
帰路の大猫平通過時刻が遅れた。ときおり雲間から雷鳴も聞こえる午後の樹林帯を降りる。とにかく滑落や怪我をしないよう、ひときわ慎重な足取りで。滝のようなブナクラ沢の轟音に包まれた取水堰堤に着いたのは予定時刻を2時間以上過ぎていた。それでも念願の大猫山登頂を果たしたメンバーはみな大満足。湯神子温泉で汗を流し、糸庄の熱々の「もつ煮込みうどん」でまた汗をかいた。遅い帰宅となったがチェックポイントは見届けて来た。ハードだが楽しい個人山行であった。