不帰の嶮(かえらずのけん)例会
《実施日》2025年7月26日(土)~27日(日)
《参加者》8名
《活動実績》
(往路)金沢04:00発―糸魚川→八方第5駐車場06:35着(タクシー待ち)→猿倉山荘・猿倉登山口07:20着
(7/26) 天候:晴、午後から曇り(一時少雨・雷鳴14:30-15:10)
猿倉登山口07:25発→白馬尻小屋08:40→大雪渓取付08:45-09:10→岩室跡10:50-11:05→白馬岳頂上山荘[昼食]12:30-13:15→分岐→杓子岳14:15→分岐14:45→白馬槍ヶ岳15:30-15:40→天狗山荘16:35(泊)
【実績】歩行距離:10.1km、累積標高差:上り1959m/下り481m
(7/27) 天候:晴
天狗山荘05:05発→天狗の頭05:25-05:35→天狗の大下り06:00→不帰の嶮取付07:00→不帰Ⅰ峰07:25→不帰Ⅱ峰08:30→唐松岳09:30-09:45→唐松岳頂上山荘[昼食]09:50-10:35→丸山ケルン11:10→八方山12:25→八方池山荘12:50着/13:15―(リフト・ゴンドラ)→八方駅13:55→八方第5駐車場14:10着
【実績】歩行距離:9.7 km、累積標高差:上り614m/下り1497m
(帰路)駐車場→みみずくの湯(入浴・反省会・解散)→金沢18:10着
* * * (プロローグ)
「不帰の嶮」は、唐松岳と白馬岳の間にある岩稜帯一体の総称です。日本三大キレットの1つとしても知られています。今回は「白馬大雪渓歩き」のおまけがついてくるという豪華企画。
ところが、実施の1週間前に遅ればせながら計画書を確認するとYAMAPのコースタイム(一般に少し早めと言われている)と全く同じであることに気づき、しかも初日は8時間30分ほどの行動時間に対して休憩は15分、昼食は30分の設定であることを発見!
さらに天気予報を確認すると初日は15時くらいから雷鳴を伴う雨の予報。
お宿到着は16時の予定。「計画遵守!」を肝に銘じて山行準備を開始。

(初日)
朝日が昇る中、白馬村に到着。快晴に近い天気でコンビニの駐車場からは今回歩く不帰の嶮もくっきりと見える。夕方までもってくれよと願いつつ、ジャンボタクシーに乗り継ぎ猿倉荘に到着。
大雪渓までの歩きはいつも暑く感じるのでは気持ちがはやるためか?
今年は雪が多かったこともあり、大雪渓の雪は多いように感じる。全員が12本アイゼンにヘルメットを装着するが、周りを見渡すと軽アイゼンの人が多いように思えた。
しかし、登るにつれ、斜度が高くなる場所も増え、雪渓最上部の夏道入口以上は軽アイゼンでは登り切れない人も見かける。今年は夏道を歩かずにさらに雪渓を歩く。
と、突然、ラクー!!の声。どこかと見ると、夏道を直径30~40センチはありそうな岩が土煙を上げながら転がっていく。下には夏道を歩く人、アイゼンを緩めている人などが見える。我々も大声で叫ぶ。
すんでのところで人的被害は無かったようだが、大変な光景を見てしまった。気を取り直して、いつもの杓子岳からの落石に注意しながら、アイゼンを外してからはお花も楽しみながら歩くこと、予定より30分ほど早く白馬岳頂上山荘に到着。
昼食を終え、午後の行動を開始。夏特有の雲が湧き始めた。元気のよい若手メンバーは杓子岳を登頂し、高齢者3名はトラバースして分岐で登頂組を待っていると雲が厚くなり、雷鳴も届き始める。15時少し前。最近の予報の的中率は高いと感心している場合ではない。ここに居ても何の得にもならない!
登頂組と合流し、早々に白馬槍ヶ岳へ。山頂に到着するころには雷鳴も治まり、天狗山荘も見え始めた。今回2回目の難を逃れることが出来た。
懇談室では無事の到着を祝し(?)、小宴会。お酒も入れば、会話も弾む。
雨も上がり、外に出ると虹が我々を歓迎してくれていた。






白馬岳頂上山荘に到着

少し雲行きが怪しい・・

杓子岳で雲に包まれ始める・・・

白馬槍ヶ岳山頂で雲もなくなり、雨が止みました


(2日目)
いよいよ不帰の嶮に挑戦する日。雨の後で清々しい。天気も申し分ない。
天狗の頭からは毛勝、劔、立山、薬師、黒部五郎、赤牛、穂高、槍、針の木、鹿島槍、五竜、唐松がくっきりと見える。さらに南アルプスの奥に富士山と最高の眺望を楽しむ。
しばらく歩くと難所の「天狗の大下り」に入る。取付き部からは不帰の嶮がⅠ峰、Ⅱ峰北峰、Ⅱ峰南峰、Ⅲ峰の4峰で構成されていることがよく判る。唐松岳山頂には多くの人も見える。
その前にある天狗の大下りも難所で一気に300mを下る。ガレ場に続いて鎖のある長めの岩場が現れる。下りでもあり気が抜けない。落石を起こさないことにも注意し、全員がトラブルなく通過。
続いてⅠ峰。ここは岩場の稜線を歩く感じだった。
難関なのはⅠ峰からⅡ峰北峰間のルート。登山道は鎖場が連続し、空中はしごも一か所ある。Ⅱ峰北峰山頂手前の鎖場では大きな岩が浮石でずれ落ちそうな場所(※)もある。 ※下山中の八方池手前で出会った山岳警備の方に報告
Ⅱ峰北峰と南峰は双耳峰になっており、稜線のつり尾根を慎重に歩き、Ⅲ峰まで来るとひと安心。
唐松岳山頂からは天狗の頭から不帰の嶮までが一望できる。3時間半の健闘を振り返った。
ここからは八方池山荘までも長い。最後まで怪我のないペースで下山。多くの登山客が夏の登山を楽しみに来られていて人気の高さを感じた。
八方池山荘前ではお決まりのアイスクリーム。今回はブルーベリーとのミックスで疲れを癒す。








天狗の大下りを通過中









* * *
今回の山行の1日の行動は歩行距離が10km程度ですが、累積標高差は2000mを時間厳守で歩くものでした。雷雲との遭遇はありました。大雪渓での落石、Ⅱ峰北峰山頂手前の大きな浮石と最悪事故となり兼ねない現場にも遭遇しましたが、これは運なのかも知れないと思うと気が引き締まります。
全体として天候にも恵まれ、参加者も自己責任を全うできる方々だったこともあり、事故や怪我もなく下山出来たのだと思います。
不帰の嶮に限らずですが、どのような計画かは事前に自分ごとに置換え、安全第一で山行を続けていきたいと思いました。
いや~、それにしても贅沢な山行。ありがとうございました!



《HP執筆後記》
個人的には不帰の嶮は2回目。しかし、30年前のことで唐松岳から白馬岳、蓮華温泉を夏の炎天下を二泊3日で縦走し、不帰の嶮については天狗の大下りを含め、唯々登り続け、蓮華温泉に飛び込んだ時はほっとしたという記憶しか残っていませんでした。
今回の山行を当時登った仲間に伝えたところ、実は1985年の7月26日(金)~29日(月)とちょうど40年前の7月27日に不帰の嶮を歩いていたことが判明。
しかもテントを担ぎ、計画書には「米二合、ビール・ウイスキー持参」などとあり、当時の登山の様子を思い起こすことが出来ました。
当時はテント1張りを4名程度で共有し、装備は個人装備と共同装備に分けて、パーティーで分担することが当たり前だったように思います。今は個人装備が中心で、山の道具も軽量化されてはいますが、当時も軽量化は常に課題だったように思います。
今回も軽量化が自身の課題の1つとして思い知らされました。
どこまで軽量化できるか、安全とのバランスで頑張ってみたいと思います!

