簗谷山 1214m
実施日 2025年4月30日(水) 快晴
参加者 8名
コースタイム
集合地4:30-簗谷山登山口7:30 7:50-簗谷山9:50~10:40(昼食)-岳美岩10:55-小鹿の涙11:50~12:10-登山口13:00 13:15-道の駅和良14:00~14:30-郡上八幡散策15:00~16:00-集合地18:15
簗谷山は「やなたにやま」と読む。岐阜県郡上市と下呂市の境に位置する標高1214mの山で、木曽川支流・飛騨川に合流する馬瀬川に注ぐ簗谷の源頭部にそびえる。この山は国土地理院2.5万図に三角点標高はあるものの山名の表記はなく、「コンサイス日本山名辞典」(三省堂1989年)にも載っていない。金沢から200キロ、3時間もかけて何ゆえにこの山を目指したか?
クマガイソウと山芍薬の花を見るためだ。特にクマガイソウは国の絶滅危惧種に指定されており、互いに尽きぬうちに見ておく必要があった。実は1週間前に下見をしている。その時は、谷筋に山芍薬のまだ固い蕾を数株見つけただけで、クマガイソウのほうは株の確認すら出来なかった。かわりに本物のクマがいて、子連れが私たちの50メートル先を横切って行った。1週間後のこの日は、ヤマレコの開花情報にも期待しながら、2台の先着車が停まる登山口から左まわりで周回した。
谷筋の山芍薬は緑の紡錘形の葉の間に白いピンポン玉のような蕾がふくらみ、花を半ば開いている個体もいくつかあった。清楚で品のある花に出会えた感動。山芍薬をあとに笹の中を続く登山道をのぼる。背の高いブナやホウノキなどが若葉をまとい、新緑が透過光に映えるダンコウバイは登るにつれてまだ黄色い花の姿を残す。オオカメノキの白い花、ピンク色の山桜が春の山にアクセントを添えている。山頂に着いた。4人グループが賑やかに食事をしていた。日差しはすでに初夏を思わせ、眺望は御嶽、乗鞍、北アルプスの笠ヶ岳など残雪の高山が霞に浮かんでおぼろげだった。
南尾根ルートを下る。周回行程を見下ろせる岳美岩に立ち寄り、途中の「小鹿の涙」と呼ばれる小滝で一休みした。さらに下った明るい灌木の斜面にそれはあった。クマガイソウの群落である。8m四方ほどをロープで囲われた斜面には、折り紙のように筋目が際立つ扇形の葉がびっしりと同じ方向を向いて風にそよぎ、どれも先端には白い蕾が膨らんでいた。手前の早熟な一株が見事に咲いていて、erotiqueとも形容できる肉色の筋が透けて見える花弁は強烈な印象だ。その名の謂れは「平家物語」に描かれた源氏の武将熊谷直実の母衣に花弁の形が似ているためとされる。
かくして「クマガイソウと山芍薬を求めて-」例会の目的は達せられた!CLが天気予報を睨んで29日でなく30日に決行したことが勝因かどうかはさておき、いずれにしても2時過ぎに起きて未明に自宅を出発していただいた参加者のみなさんの期待に報いることができて本当に良かったよ。



平日のこの朝、駐車場にはまだ2台しか停まっていない。早く着いて良かった。余裕で停めて、
登山口を出発。
しばらく進むと、シカの頭蓋骨の出迎えを受けた。

谷筋に咲きかけたヤマシャクヤク。清楚で気品がある。下見した1週間前は緑の固い蕾だった。

谷筋からぶなの木尾根をめざして登る。

尾根道の樹間から簗谷山の山頂部が見える。

登山道のあちらこちらで見かけたキランソウ。

山頂から北東側の眺め。春霞のなかに御嶽、乗鞍岳、北アルプス南部の山々がうっすらと。

岳美岩は一枚岩の展望デッキだ。周回コースを見下ろす。

アカヤシオの前で他の登山客とすれ違い情報交換をする。
アカヤシオは本州の福島県から、紀伊半島の三重県まで太平洋側に分布する。深山に自生する。樹皮は灰褐色から茶褐色をしている。(ウイキペディア)

シカの死骸がここにも。一行の中の動物学の先生が解説する。

明日から5月。美しい新緑に心が癒される。

水場「小鹿の涙」で小休止。山と水の神様である「大山祇神」(おおやまつみのかみ)の石碑が傍らに建つ。

遂に見つけました。クマガイソウの群生地です。

想像力を掻き立てるクマガイソウの見事な花びら。

登山口に戻ると、車の数は10台に増えていた。名古屋、大阪ナンバーが多かった。 FIN