曖昧な天気予報を裏腹に立山は晴れた。室堂に上がると紫外線が痛い。空が一段と青くて近かった。
メンバーに二人の晴れ女。過去に悪天候予報を何度もひっくり返してきた実力は確かだった。彼女らに感謝し、青天の雄山と浄土山を背景に集合写真を撮り出発した。
浄土山登山口には残雪があり、スキーヤーが練習をしていた。その横を登り始めたが体が重く息が切れる。標高2400mの出発であることを気がついた。ゆっくりと 1時間ほど登ると室堂展望台に到着。天空の向こうに目的地の五色ケ原山荘が小さく見えた。浄土山の登山道は岩の多い急登だったが、スローペースを意識してたのできつくはなかった。浄土山山頂手前では雷鳥親子に遭遇。「浄土」で雷鳥に迎えられ有難い気持ちになった。展望台から30分で浄土山に登頂。山頂からは雄山から剣岳まで見ることができた。浄土山山頂から10分進むと富山大学立山研究所がある。ここは雄山方面と五色ケ原方面の分岐点で休憩場でもある。ここでブランチをしたら五色ヶ原まで4時間の下り山行の始まりである。出発すると正面に龍王岳があるがここには登らない。龍王岳の脇を抜けて後ろを下る。ガレてるので緊張しながら下る。所々で花が綺麗で何度も立ち止まって鑑賞する。ペースが上がらないが休憩代わりでちょうど良かった。鬼岳の東面に来ると残雪があった。ここでは軽アイゼンを装着した。それでもかき氷状態の残雪では少し滑る。慎重に通過したので時間がかかった。獅子岳に来るとガレ場がきつくなり鎖とハシゴが設置されていた。山道のガレ石が下に落ちることがあり、先を歩くメンバーに注意した。このような場所では 間隔を置いて歩く方が良いと感じた。緊張してガレ場を抜けるとお花畑が続く。今まで見た花よりも凛とした感じがある。ガレ場を抜けて安堵の気持ちで見たからかもしれない。お花の向こうには後立山連峰が見えた。何百年も前から信仰登山してきた人たちも同じ気持ちで花を見たのかもしれない。お花畑を過ぎると最後のガレ急斜面がザラ峠まで続く。空はガスって展望が悪くなった。ザラ峠から150m 登り返すと 五色ヶ原の台地に出た。空が少し晴れて室堂展望台で見た五色ケ原山荘が見えた。霧から現れた五色ケ原は幻想的だった。最後の力を振絞った。
五色ケ原山荘に到着するとホーロー湯船のお風呂を頂いた。おかげで 疲れた体を癒し、風呂上がりにビールを楽しむことが出来た。また食事は出来立ての手作りでとても美味しかった。今日の山行を五色ヶ原を見ながらメンバーと語り合い一日を終えた。
二日目の天候は曇り。五色ヶ原に見送られ前日の道を登り返す。ザラ峠で前日はガスで見えなかった崩落地帯の様子と立山カルデラが見えた。獅子岳で振り向くと五色ヶ原に続く尾根を境に右半分が雲海で幻想的だった。五色ヶ原の「五色」は神仏の教えを示す五色を言っているのだろうか。五色が何を意味するのか分からないが、幻想的な風景から神々の山に来たことは間違いないだろう。
富山大学立山研究所の分岐点から最後の登山で雄山へ向かう。雄山はガスっていて展望はなかった。山頂の雄山神社でお参りの際、ここまでの山行を思い浮かべ、神様にお礼をした。
一の越に下ると立山カールに残雪模様の展望が現れた。そして室堂までの道が照らし出されたのでした。(終)【山行日】 2021年7月24日(土)、25日(日)【参加人数】 6名【山行記録】 (1日目) 駐車場5:00→立山駅 7:20 →室堂 8:30/8:45→室堂山展望台 9:35/9:50→浄土山10:20→富山大学立山研究所 10:40 →鬼岳→獅々岳 12:55→ザラ峠 14:30 →五色ヶ原山荘 15:25 、歩行距離6.4㌔、上り / 下り753 / 694 m
(2日目) 五色ヶ原山荘5:50 →ザラ峠→獅々岳 8:10→一ノ越 10:00~10:40→雄山 11:20/11:40→一ノ越→室堂 13:10/14:00 →立山駅 15:00→お風呂→駐車場18:30 、歩行距離7.7㌔、上り / 下り1008m / 1068 m