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例会山行報告 >> 記事詳細

2020/11/16

法恩寺山山行報告

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法恩寺山 1356.7

 ― 晩秋の禅定道を歩く ―

 

実施日 令和2年1115日(日) 快晴

■参加者 19名   ランクB

■コースタイム

集合場所6:00 → 平泉寺P7:107:35 → 平泉寺白山神社7:45 → 三頭山9:009:05 → 林道出合9:40 → 中ノ平小屋10:0510:15 → 法恩寺山11:1512:05 → 中ノ平小屋12:50 → 平泉寺白山神社14:35 → 平泉寺P14:4515:00 → 集合場所16:00

 

 車の屋根に霜が降りて寒い朝だ。好天を約束する黎明のなか集合場所を出発、県境を越え到着した勝山市平泉寺の山門前は斜光線を受けた山あいの空気も凛と張り詰めていた。平泉寺は白山信仰における三馬場の一つ越前馬場である。養老元(717)年、越の大徳・泰澄はこの地で白山妙理大権現の感得を受け白山山頂へ向かったとされ、834年に開かれた越前禅定道の起点となった。その古道を辿り、途中の法恩寺山まで登る例会に参加した。鳥居をくぐり神域を進めば、御堂と苔むした杉林の空間に漂うただならぬ気配は加賀馬場・白山比咩神社、美濃馬場・長滝白山神社のそれに勝るとも劣らぬ神威を感じさせ畏れ多い。

 法恩寺山までは約7キロあり、いきなり急登で始まった。全体的には登り始めと山頂直下は急だが途中は緩やかな稜線歩きのイメージだ。スギ、クヌギやコナラ、それにブナも混じる林を乾いた落ち葉を踏んで2時間も行くとひょっこり林道に出、さらに進むと中ノ平小屋に着いた。宿泊もできるという立派な小屋で、屋外に水道も完備している。見れば車がここまで入れるではないか。それもそのはず、法恩寺山の西斜面一帯は福井県内最大のスキージャム勝山スキー場のゲレンデが整備され、林道が山腹を縫うように延びている。冬場はリフトがスキー客を山頂近くまで運び上げることだろう。養老3年に同じ泰澄が開いたという医王山の開発とよく似ているのは単なる偶然だろうか。

 貸切りの山頂は素晴らしい眺望が待っていた。まだらに雪をつけた白山から別山への稜線がたおやかに青空を画し、手前の加越国境を取立山、烏岳、大長山から赤兎山への通い馴れた山並が横切っている。小原峠らしい鞍部に目を凝らせば、その先市ノ瀬を経て白山へと続く禅定道を昔、白装束にわらじ履きの人々が錫杖を手に「六根清浄」を唱えながら辿る姿が瞼に浮かんだ。帰路も落葉に半ば隠れた石積みの道を下りながら、白山を拝み見るためにこの道を行き交った数多のいにしえ人を思ってみた。やがて深い雪に覆われ一点の染みもなく真白になる白山は、春になれば手取川、九頭竜川、長良川、そして庄川に豊かな雪解け水を分ける。太古より繰り返される「水分(みくまり)」をつかさどる農耕神への感謝から始まった素朴な白山信仰は、神仏習合に彩られ、やがて修験道の霊山となった歴史を持つ。この日、聖なる登拝路に足を踏み入れた私たちもまた山伏さながらに何かしら霊験を授かったに違いない。名残りの紅葉にも癒やされて有難き晩秋の例会を楽しんだのである。





参道沿いに立つ朝市。農産物が安くて新鮮で、主婦に戻る人が続出した


買った物を車にデポし、リーダーの挨拶で例会開始

平泉寺白山神社参道の石段を登る参加者


びっしり苔が生え、杉の巨木が林立する境内は厳かそのもの


白山禅定道の登拝口。イノシシ除けの柵が張りめぐらされていた


のっけから急な登りが始まる


途中の三頭山展望台から見る大日山塊


中ノ平小屋前でしばし休憩する


再び急登にさしかかり


古い石積みの登拝路を行く


法恩寺山山頂の眺望。遠景は白山と別山、中景左から烏岳、大長山、赤兎山。前景の小ピークは伏拝と呼ばれる遥拝所。
古来、遥かな白山をめざした、あるいは最後にそれを振り返り見た人々の想いは何だったか



サクサクと乾いた音をたてる落ち葉を踏んで下る


樹間の尾根道。名残りの紅葉が秋の終わりが近いことを告げていた                  (FIN)

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